猫の慢性腎臓病とは?症状・治療・最期のサインと後悔しない看取り方を解説
猫の慢性腎臓病とは?最期に見られる症状や看取り・後悔しないためにできることを解説
猫ちゃんは、慢性腎臓病になりやすい動物といわれています。
特に高齢の猫ちゃんでは、「水をよく飲む」「おしっこの量が増える」「痩せてきた」「食欲が落ちた」といった変化から、慢性腎臓病に気づくことがあります。
慢性腎臓病は、数ヶ月から数年かけて少しずつ腎臓の働きが低下していく病気です。
一度失われた腎臓の機能を元に戻すことは難しいため、治療では病気の進行をできるだけゆるやかにし、猫ちゃんが穏やかに過ごせる時間を支えることが大切になります。
この記事では、猫ちゃんの慢性腎臓病の原因や症状、治療の考え方、最期が近づいた時に見られる変化、そしてご家族様が後悔しないためにできることを分かりやすく解説いたします。
なお、この記事は一般的な情報です。実際の診断や治療については、必ずかかりつけの動物病院へご相談ください。
猫の慢性腎臓病とは
慢性腎臓病とは、腎臓の働きが長い時間をかけて少しずつ低下していく病気です。
腎臓には、体の中の老廃物を尿として排出したり、体内の水分量を調整したり、血圧やミネラルバランスを保ったりする大切な役割があります。
腎臓の働きが落ちてくると、体の中に老廃物がたまりやすくなり、食欲不振、嘔吐、体重減少、脱水、元気の低下など、さまざまな症状が見られるようになります。
猫ちゃんの場合、初期には目立った症状が出にくく、飼い主様が気づいた時にはある程度進行していることも少なくありません。
そのため、元気そうに見えても、シニア期に入った猫ちゃんは定期的な健康診断が大切です。
猫が腎臓病になりやすい理由
猫ちゃんはもともと砂漠地帯で暮らしていた動物を祖先に持つとされ、少ない水分でも生きられるように、濃い尿を作る体の仕組みを持っています。
そのため、腎臓には長年にわたり負担がかかりやすいと考えられています。
また、猫ちゃんは水をあまり飲まない子も多く、気づかないうちに慢性的な脱水傾向になっていることもあります。
慢性腎臓病のはっきりした原因が分からないケースも多いですが、加齢、体質、脱水、感染症、高血圧、尿路の病気、歯周病など、さまざまな要因が関係していると考えられています。
急性腎障害の場合は、尿路閉塞、毒物、薬剤、重度の脱水などが原因になることがあり、若い猫ちゃんでも起こることがあります。
特にオス猫ちゃんで「おしっこが出ない」「何度もトイレに行くのに尿が出ていない」という場合は、命に関わる緊急状態の可能性がありますので、すぐに動物病院へ連絡してください。
慢性腎臓病でよく見られる初期症状
猫ちゃんの慢性腎臓病では、初期のうちは症状が分かりにくいことがあります。
しかし、次のような変化が見られる場合は注意が必要です。
- 水を飲む量が増えた
- おしっこの量や回数が増えた
- 体重が少しずつ減ってきた
- 食欲にムラが出てきた
- 毛づやが悪くなった
- 以前より寝ている時間が増えた
- 口臭が気になる
- 嘔吐の回数が増えた
これらの症状は、年齢のせいと見過ごされやすい変化でもあります。
しかし、「老猫だから仕方ない」と決めつけず、気になる変化がある場合は早めに動物病院で相談することが大切です。
慢性腎臓病だけでなく、甲状腺機能亢進症や糖尿病など、似たような症状が出る病気もあります。
血液検査や尿検査を受けることで、原因を確認しやすくなります。
進行すると見られる症状
慢性腎臓病が進行すると、体の中に老廃物がたまり、猫ちゃんの体調に大きな影響が出てきます。
進行した慢性腎臓病では、次のような症状が見られることがあります。
- 食欲が落ちる
- ほとんど食べなくなる
- 水は飲むのに痩せていく
- 嘔吐が増える
- 口の中が気持ち悪そうにする
- よだれが出る
- 便秘や下痢が見られる
- 脱水が進む
- ふらつきが出る
- ぐったりして動かない時間が増える
腎臓病が進むと、高血圧や貧血が起こることもあります。
急に目が見えにくそうにする、ふらつく、呼びかけへの反応が弱いなどの変化がある場合も、早めの受診が必要です。
猫ちゃんは体調不良を隠すことが得意な動物です。
小さな変化でも、普段と違うと感じた時は、かかりつけの先生へ相談してください。
慢性腎臓病の診断とステージ分類
猫ちゃんの慢性腎臓病では、血液検査、尿検査、血圧測定、超音波検査、レントゲン検査などを組み合わせて診断されることが一般的です。
血液検査では、クレアチニンやBUN、SDMAなどの数値を確認します。
尿検査では、尿の濃さや尿蛋白の有無などを確認し、腎臓の働きを評価します。
また、慢性腎臓病ではステージ分類が行われることがあります。
ステージを把握することで、今どの程度進行しているのか、どのような治療や管理が必要なのかを考えやすくなります。
ただし、数値だけで猫ちゃんの状態を判断することはできません。
同じステージでも、食欲や元気、脱水の程度、血圧、貧血の有無、生活の質は猫ちゃんによって異なります。
検査結果と日々の様子を合わせて、主治医の先生と相談しながら治療方針を決めていくことが大切です。
慢性腎臓病の治療で大切なこと
慢性腎臓病は、完治を目指すというよりも、進行をできるだけゆるやかにし、猫ちゃんが少しでも楽に過ごせるように支える病気です。
治療内容は、病気のステージや症状、猫ちゃんの性格、食欲、通院への負担などによって変わります。
一般的には、療法食、薬やサプリメント、点滴、皮下補液、吐き気止め、食欲を支える薬、血圧管理、リンの管理などが検討されます。
猫ちゃんは投薬や通院が大きなストレスになることもあります。
そのため、「できる治療をすべて行う」ことだけが正解ではありません。
猫ちゃんの負担、ご家族様の生活、治療の目的を主治医の先生と相談しながら、無理のない形を選ぶことが大切です。
食事療法について
慢性腎臓病の猫ちゃんでは、腎臓に配慮した療法食がすすめられることがあります。
療法食は、リンやナトリウム、タンパク質などを調整し、腎臓への負担に配慮して作られています。
ただし、猫ちゃんによっては療法食をなかなか食べてくれないこともあります。
食べない状態が続くと、体力が落ちてしまうため、「療法食でなければ絶対にだめ」と考えすぎないことも大切です。
ドライフード、ウェットフード、別メーカーの療法食、温める、少量ずつ出すなど、主治医の先生と相談しながら工夫していきましょう。
手作り食を考える方もいらっしゃいますが、猫ちゃんは完全肉食動物であり、栄養バランスの調整がとても難しい動物です。
自己判断での手作り食は、かえって体に負担をかける可能性があります。
行う場合は、必ず獣医師へ相談してください。
皮下補液について
慢性腎臓病が進行すると、脱水が起こりやすくなります。
そのため、動物病院で点滴を行ったり、ご自宅で皮下補液を行ったりすることがあります。
皮下補液とは、皮膚の下に補液を入れて、体の水分を補う方法です。
猫ちゃんによっては、皮下補液を行うことで食欲や元気が少し戻ることもあります。
ただし、量や回数を誤ると、心臓や体に負担がかかる可能性もあります。
自宅で行う場合は、必ず動物病院で指導を受け、獣医師の指示通りに行ってください。
猫ちゃんが強く嫌がる場合や、ご家族様の負担が大きい場合は、別の方法を相談しても大丈夫です。
治療は、猫ちゃんとご家族様が続けられる形であることが大切です。
最期が近づいた時に見られる変化
慢性腎臓病が進行し、最期が近づいてくると、猫ちゃんの様子に大きな変化が見られることがあります。
ただし、どの症状が出るか、どのくらいの期間で進行するかは猫ちゃんによって異なります。
一般的には、次のような変化が見られることがあります。
- 食べる量が大きく減る
- 水もあまり飲めなくなる
- 寝ている時間がほとんどになる
- 呼びかけへの反応が弱くなる
- 体温が下がってくる
- 歩くとふらつく
- トイレまで行けなくなる
- 人目につかない場所へ行こうとする
- 逆にご家族様のそばから離れたがらない
これらの変化が見られたからといって、必ずすぐに亡くなるというわけではありません。
しかし、猫ちゃんの体がかなりつらい状態になっている可能性があります。
痛みや吐き気、脱水、呼吸の苦しさなどを和らげる方法がある場合もありますので、迷った時は動物病院へ相談してください。
看取りの時間にご家族様ができること
慢性腎臓病の猫ちゃんを看取る時間は、ご家族様にとってとてもつらい時間です。
「もっと早く気づいていれば」「別の治療を選んでいれば」と、ご自身を責めてしまう方も少なくありません。
しかし、長く一緒に過ごしてきた猫ちゃんにとって、ご家族様のそばにいられることは大きな安心です。
看取りの時間には、次のようなことを意識してあげてください。
- 静かで落ち着ける場所を用意する
- 体が冷えないようにする
- 無理に食べさせたり飲ませたりしない
- 好きだった毛布やベッドをそばに置く
- やさしく声をかける
- 苦しそうな時は動物病院へ相談する
食べられない時に、注射器やスポイトで無理に水や食べ物を入れると、誤嚥につながることがあります。
無理に何かをさせるよりも、猫ちゃんが安心できる環境を整えてあげることが大切です。
「そばにいる」「声をかける」「体をやさしく撫でる」ことも、立派なお世話です。
後悔しないために考えておきたいこと
猫ちゃんの病気が進行している時、ご家族様はさまざまな選択を迫られます。
通院を続けるのか、自宅で穏やかに過ごす時間を優先するのか、点滴や投薬をどこまで行うのか。
どの選択にも、正解がひとつだけあるわけではありません。
大切なのは、「猫ちゃんにとって何が一番穏やかか」「ご家族様が後から自分を責めすぎない選択は何か」を考えることです。
迷った時は、主治医の先生に次のようなことを相談してみてください。
- 今の状態はどのくらい進行しているのか
- 治療を続ける目的は何か
- 猫ちゃんの苦痛を和らげる方法はあるか
- 自宅でできるケアは何か
- 通院が負担になっていないか
- 看取りの準備として知っておくべきことは何か
病気と向き合う時間は、ご家族様だけで抱え込まないことが大切です。
動物病院、ご家族、信頼できる人と相談しながら、猫ちゃんにとって穏やかな時間を選んであげてください。
もし猫ちゃんが旅立ってしまったら
猫ちゃんが亡くなった直後は、悲しみや動揺で何をすればよいか分からなくなることがあります。
まずは慌てず、体を清潔なタオルや毛布の上に寝かせ、涼しい場所で安置してあげてください。
目や口が開いている場合は、無理のない範囲でそっと整えてあげます。
体液が出ることもありますので、ペットシーツやタオルを敷いておくと安心です。
夏場や暖房の効いた部屋では体の変化が早く進むことがあります。
保冷剤やドライアイスをタオルで包み、お腹まわりを中心に冷やしてあげてください。
火葬のタイミングは、ご家族様のお気持ちや季節、安置環境によって変わります。
「すぐに火葬しなければならない」と焦る必要はありませんが、迷われる場合は早めにペット火葬業者へ相談されると安心です。
まとめ
猫ちゃんの慢性腎臓病は、高齢の猫ちゃんに多く見られる病気のひとつです。
初期には症状が分かりにくいこともありますが、水をよく飲む、おしっこが増える、痩せてきた、食欲が落ちたなどの変化が見られる場合は注意が必要です。
慢性腎臓病は完治が難しい病気ですが、治療や食事管理、皮下補液、生活環境の工夫によって、猫ちゃんが穏やかに過ごせる時間を支えることはできます。
最期が近づいてきた時は、無理に食べさせることよりも、安心できる場所でそばにいてあげることが大切です。
どのような治療を選ぶか、どのように看取るかに、ひとつの正解はありません。
ご家族様が猫ちゃんを大切に想い、できる限りのことをしてきた時間は、猫ちゃんにとってもかけがえのない時間です。
どうかご自身を責めすぎず、猫ちゃんとの大切な時間を、感謝の気持ちで過ごしてあげてください。
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