ペット火葬・ペット葬儀お役立ちコラム


猫と話ができたら聞いてみたいこと

猫と話ができたら聞いてみたいこと

「年齢を考えると、覚悟は必要ですね」

動きが鈍くなった黒猫を病院へ連れて行った時、獣医師の先生からそう言われました。

15歳半。

数字だけ見れば高齢です。

頭では分かっていました。

いつまでも元気なままではいられないことも分かっていました。

それでも、その言葉を聞いた時は胸に残るものがありました。

 

検査の結果、猫エイズではありませんでした。

白血球の異常もありませんでした。

少し安心しました。

ですが、原因がはっきり分からないまま、「年齢」という現実だけが残りました。

 

どこまでしてやれば良いのか

それから考えることが増えました。

セカンドオピニオンを受けるべきだろうか。

別の病院へ行けば何か分かるのだろうか。

もっとできることがあるのではないだろうか。

その一方で、高齢になった身体を何度も病院へ連れて行くことが、本当にこの子のためなのかとも考えます。

慣れない場所へ行き、検査を受けることは大きな負担かもしれません。

それなら安心できる家で静かに過ごした方が幸せなのではないか。

どちらが正しいのか分かりません。

どこまでしてやれば良いのか。

何がこの子にとって一番なのか。

答えは出ません。

 

道路で遊んでいた小さな黒猫

そんなことを考えていると、昔のことを思い出します。

この黒猫と出会ったのは15年半前でした。

まだ子猫で、道路で遊んでいました。

車に轢かれてもおかしくない場所だったため、そのまま保護しました。

子猫の頃は本当にやんちゃでした。

玄関が開く隙を見つけては外へ飛び出します。

慌てて追いかけると、決まって家の車の下へ潜り込んでいました。

名前を呼んでも出てきません。

そんな時の切り札がちゅーるでした。

ただ、この子も賢かったのです。

ちゅーるがもらえると分かるまで出てきません。

車の下からこちらを見ながら、じっと様子をうかがっています。

結局はちゅーるに負けて出てくるのですが、そのやり取りを何度も繰り返しました。

当時は困らされましたが、今となっては懐かしい思い出です。

 

缶詰の音だけで走ってきた頃

食べることも大好きでした。

若い頃は缶詰を開ける音がすると、どこにいても飛んできました。

どの缶詰か分かるはずもないのに、音だけで反応するのです。

期待に満ちた顔で走ってくる姿を何度も見ました。

私が横になると、お腹の上で寝ることもありました。

重たいと思いながらも、その重みが当たり前の日常でした。

ですが、その当たり前は少しずつ変わっていきました。

 

今はちゅーる1本も食べ切れないことがある

今では歩く速度もゆっくりです。

高い場所へ登ることも減りました。

お腹の上に乗ってくることもありません。

そして、あれだけ好きだったちゅーるを残すことがあります。

口内炎がひどくなっているようで、食べることがつらそうな日もあります。

歯槽膿漏の治療では、奥歯を抜くことにもなりました。

若い頃の姿を知っているだけに、その変化はやはり寂しいものです。

缶詰の音だけで走ってきていた猫が、今はちゅーる1本も食べ切れないことがある。

正直、それが一番こたえるのかもしれません。

それでも、ご飯を食べてくれた日はうれしくなります。

水を飲んでいる姿を見るだけで安心します。

若い頃には気にも留めなかったことが、今ではうれしい出来事になりました。

 

もし猫と話ができたら

もし猫と話ができたら、聞いてみたいことがあります。

痛くないか。

苦しくないか。

病院へ行きたいのか。

家でゆっくり過ごしたいのか。

何かしてほしいことはないか。

本当の気持ちを聞くことができたら、どれだけ良いだろうと思います。

けれど、それは叶いません。

だから今は、この子の表情や仕草を見ながら考えるしかありません。

完璧な答えは見つからなくても、その時その時で最善だと思う選択をしていくしかないのだと思います。

 

一緒に過ごせる今を大切にしたい

道路で遊んでいた小さな黒猫と出会って15年半。

玄関から脱走しては車の下へ隠れ、ちゅーるで誘い出していた頃が昨日のことのように思い出されます。

その頃は、こんな日が来ることを考えたこともありませんでした。

けれど、15年半という時間を一緒に過ごせたことは幸せなことだったと思います。

ペットと暮らしていると、今の日常が当たり前のように感じてしまいます。

ですが、その時間は決して当たり前ではありません。

元気に走る姿も、眠る姿も、ご飯を食べる姿も、一緒に過ごす何気ない時間も、どれもかけがえのないものです。

もし今、隣でペットちゃんが眠っているなら、少しだけ撫でてあげてください。

私も今日一日を、この黒猫と一緒に大切に過ごしたいと思います。

明日も当たり前のように隣で眠っていてくれることを願いながら。

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