【NY市場】米中緊張高まる中、ドル円は株にらみの展開

 きょうのNY為替市場は米中貿易問題がエスカレートしており、市場にはリスク回避の雰囲気が強まった。トランプ大統領が、もし中国が通商慣行の変更を拒否し、報復措置をとるならば、制裁関税は2000億ドル相当まで拡大されると発表した。市場では関税措置を拡大しても1000億ドルと見られていただけにネガティブ・サプライズとなり、市場にはリスク回避の雰囲気が席巻している。  それに対して中国も対抗する方針を発表している。中国の米製品の輸入は1300億ドル程度であることから、米国の2000億ドル規模の関税措置は実施できず、別の方法を検討しているようだ。  米国の中国からの輸入は3600億ドル程度で、そのうちの2000億ドルとなると、さほど現実的ではないとの意見も聞かれる。品目リストの作成を命じられているUSTRも次の措置は経済への影響を最小限するよう配慮するのではとの見方もあるようだ。また、目先の実体経済への影響は未知数な部分も多い。  とはいえ、米中の緊張の高まりに市場はリスク回避の雰囲気を強めており、為替市場は円高の動きを強めた。  ドル円はNY時間に入ると完全に株にらみの展開となった。ダウ平均が一時400ドル超下落したことから序盤は上値が重かったが、買戻しも入り110円台に戻す動き。  きょうの下落で堅持していた200日線の水準をブレイクし、一旦上値へのモメンタムを失った形となっている。きょうは一時109.55円付近まで下落していた。ただ、ドル自体は買われている。ファンダメンタルズ的にはドル円の下値を積極的に探る状況でもなく、絶好の買い場が訪れているとも言えなくはない。しかし、まずは株式市場が落ち着くのを待つのみといったところかもしれない。  ユーロドルはNY時間に入って下げ渋り、1.15ドル台後半まで戻している。ロンドン時間から戻り売りが強まり、一時1.1530ドル近辺まで下落していた。目先は5月安値の1.1510ドル付近が下値サポートとして意識される。過熱感を示すRSIはまだ下げ過ぎ感を示しておらず、モメンタム的には下げ余地がもう少しありそうだ。  ポルトガルのシントラでECBのフォーラムが開催されており、ドラギECB総裁の講演も行われた。大規模な金融緩和が引き続き必要としており、利上げについては辛抱強い姿勢を保つと述べていた。また、他のECB理事も利上げについては、来年夏以降も金利は据え置く可能性に言及していた。量的緩和の拡大は年内に終了するものの、そこから利上げまでのハードルは高いことを強調していたようにも思われる。  ポンドドルは1.31ドル台まで下落し、昨年11月以来の安値水準に下落。英EU離脱法案を巡って議会が混沌とする中、きのう英上院は議会が交渉の行方を左右することを認めないとしたメイ政権の案を否決し、議会により大きな権限を与える対案を可決した。明日、再び対案は下院で採決にかけられる。メイ英首相は英上院の案を受け入れられないとの認識を示した。また、EUのバルニエ首席交渉官の発言が、両者には深い隔たりが残っていると述べていた。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美