【NY市場】ドル全面安 ドル円は一時109円割れ 保護主義への懸念も

 きょうのNY為替市場はドルが全面安となる中、ドル円は一時109円を割り込んだ。東京時間に心理的節目の110円を割り込み、その後ショートカバーも見られ110円台回復を試したが、上値を完全に抑えられたことでロンドン時間に入って見切り売りが加速していた。  ムニューシン米財務長官のドル安を肯定する発言が伝わったことも流れを加速させたが、NY時間に入ってもそれが続いた。更に米株式市場でダウ平均が伸び悩んだこともドル円を圧迫していたようだ。ダボス会議に出席しているロス商務長官が、中国が技術イノベーションの戦略目標として掲げる「中国製造2025」に対する警戒感を示す発言も重しとなったようだ。中国の知的所有権の侵害に対して対抗措置を取るか、米当局は調査しているという。  輸入品への関税賦課などトランプ政権が保護主義的な政策を打ち出している中、市場では世界経済への支障が警戒されているようだ。ダボス会議に出席しているトランプ政権の経済閣僚の発言がドル安に勢いを与えているが、さすがに過熱感も高まっており、そろそろ冷水も欲しいところではある。  ただ、25日の現地時間夜にトランプ大統領がダボス会議で演説を行う予定になっている。本命の登場でもあり、しばらくドルの下値警戒感は収束しないのかもしれない。  一方、ユーロドルは買いが強まり1.24ドル台まで上昇。いよいよ明日はECB理事会が開催される。今回はガイダンスの変更はないと見られており、注目はドラギ総裁の会見ということになる。景気自体は好調な数字が相次いでいるが、足元のインフレ指標はまだ、目標に向かう気配までは見せていない。一部では年内の利上げ観測が高まってきているが、それは打ち消して来るであろう。これまでもよく使用していた「量的緩和を突然終了することはない」と述べ、慎重姿勢を継続するものと思われる。  また、ドラギ会見でユーロに関して何らかの言及があるかも注目される。ECB理事から直近のユーロ高をけん制する発言が相次いでいた。ただ、これについてはユーロ高というよりもドル安の面も大きく、対ポンドでは下落していることから実効為替レートでは、懸念を強めるほどユーロ高が進んでいる状況にはない。  ドラギ総裁の会見がこれまで通り慎重姿勢を強調するようであれば、調整が入るリスクも警戒されているようだが、その場合でも、前日の黒田総裁の会見のように一時的な動きになる可能性も留意したい。  ポンドの勢いが止まらず、ポンドドルは1.42ドル台まで急伸している。対ユーロでも上昇。一方、ポンド円もドル円の下げで伸び悩んだものの155円付近を維持。ドル安のほかにこの日発表の英雇用統計もサポートとなった模様。雇用者数は予想外の増加となったことや、平均賃金(賞与除)は前年比2.4%と前回から上昇率は拡大した。  このところ、EUを離脱しても、これまでと近い形で残るソフト・ブレクジットへの期待が膨らんでおりポンドをサポートしている。2016年の英国民投票後の下げを取り戻しつつある。今週末に英GDP速報値の発表が控えているほか、ダボス会議でのカーニー英中銀総裁の講演なども予定されており、その発言も注目される。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美