【NY市場】ドルの利益確定売りでドル円は110円割れ

 きょうのNY為替市場は、この日のフィラデルフィア連銀景気指数が予想を下回ったことをきっかけにドル売りを強め、ドル円も110円を割り込んだ。ただ、FRBのスタンスの変化などドル売りを誘発する特段の材料は見当たらず、テクニカル的な売りの印象も強い。  ドルインデックスは昨年7月以来の水準まで上昇するなど、このところドル買いが強まっていたことから、利益確定売りが出てもおかしくはない状態だった。英中銀がこの日の金融政策委員会(MPC)で利上げに向けた動きを見せたこともドルの利益確定売りを誘発したのかもしれない。  米株式市場は米中貿易問題への懸念が根強く、きょうも下げている。ドル円も動向を気にしながらの動きとなったが、クロス円は上昇しており、リスク回避の円高は強まっていない。シンプルにドルの利益確定売りに伴う下げといった印象だ。ドル円は再び200日線を下回っているが、早期に戻せるか目先は注目される。  なお、ブルームバーグが関係者の話として、ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)が、米中の緊張を回避するため、中国との協議再開を試みていると報じた。制裁関税が発動される7月6日より前にハイレベル協議を行いたい意向のようだ。中国の王岐山・国家副主席を米国に招いて協議するという案も浮上している。ただ、一部の強硬派からは反対の意見も出ているという。  ユーロドルは買い戻しが強まった。ロンドン時間にはエコノミストでユーロ懐疑派としても知られる与党「同盟」のバニャイ上院議員が、上院財務委員会の委員長に指名されたと報じられたことで、イタリア債や株式の下落をきっかけにユーロも売りが強まっていた。ユーロドルも1.1510ドル付近まで一時下落し、5月安値の水準に顔合わせしている。  達成感も出たのか、次第にショートカバーが強まり、ユーロドルは一時1.1635ドル付近まで上昇した。今週の高値1.1645ドルをうかがう動きも出たが、きょうは上値を抑えられた。  ただ、FRB、更には英中銀とも金融政策の格差拡大観測が強まっており、ユーロの下値不安は根強い。イタリア情勢の不透明感も根強い中、ユーロドルの1.15割れは時間の問題との見方が依然として多いことに変わりはないようだ。  きょうはポンド買いが目立った。ポンド円は一時146円台まで上昇する場面も見られた。きょうの英中銀金融政策委員会(MPC)がポンドを押し上げた。政策は大方の予想通り据え置きだったものの、委員の投票行動で利上げ主張が前回の2人から3人に増えたこと、そして、議事要旨で量的緩和(QE)縮小の条件の文言に変更があったことがポジティブ・サプライズとなっている。前回は政策金利が2%になるまではQE縮小は実施しないと言及していたが、それを1.5%に変更している。  ただ、QE縮小までは少なくともあと3-4年はかかるとの見方もあり、利上げ主張の委員が増えたことのほうがポンド買いを誘発したのではとの見解も出ている。  英中銀はややタカ派よりになったとの印象から、次回8月の利上げ期待も高まっており、短期金融市場では8月の利上げ確率が67%まで上昇している。きのうまでは50%付近だった。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美